受付帳が使えなくなった後の物件の探し方
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執筆・監修:株式会社レックアイ(GeoLead 運営会社)
目次
この記事の結論
2026年10月1日から、登記受付帳に「登記の目的」と「不動産所在事項」が記録されなくなります。「どの物件に、どんな登記があったか」が受付帳から読み取れなくなるため、受付帳をもとに相続のあった物件を見つける方法は使えなくなります。
受付帳が便利だったのは、1つの資料で3つのことが同時にわかったからです。相続や売買の登記手続きが「受け付けられた」こと。それが「どの不動産」か。そしてエリア内を「漏れなく」見られること。代わりの方法はいくつかありますが、この3つを同時に満たすものは見当たりませんでした。
そのため、これからは複数の方法を組み合わせることになります。本記事では、何が変わるのかを条文で確認したうえで、代わりになる方法を比べます。
この記事の対象
- 受付帳を使って物件を探してきた不動産会社の営業担当者
改正の内容
2026年10月に何が変わるか
受付帳から消えるもの。法務省令(令和7年法務省令第49号)の施行日は2026年10月1日です。施行日以後、受付帳に記録される内容が変わります。
つまり「何の申請・申出か」と「どの不動産か」が消え、受付の年月日と受付番号が残ります。
| 受付帳に記録されること | |
|---|---|
| 改正前 | 登記の目的(第158条の14第2項では「申出の目的」)/受付の年月日と受付番号/不動産所在事項(どの不動産か) |
| 施行日以後 | 受付の年月日と受付番号 |
相続を狙う方法は、2つとも同時にふさがれます
見落とされやすいのですが、改正されるのは1か所ではありません。不動産登記規則の第56条第1項(登記申請の受付)と、第158条の14第2項(相続人申出等の受付)の2か所が、同じように改正されます。第158条の14第2項は、相続人申告登記の申出を扱う規定です。第56条第1項は「登記の申請(相続登記を含む)」、第158条の14第2項は「相続人申出等(相続人申告登記の申出など)」の受付です。受付帳で相続関連の受付を追う経路は、この2つです。どちらも同時にふさがれるため、一方に切り替えて回避することはできません。
受付帳そのものは残ります
「受付帳が廃止される」と言われることがありますが、正確ではありません。施行日以後も、登記官は受付帳に受付の年月日と受付番号を記録します。行政文書開示請求で取得できる点も変わりません。なお、受付帳に記録されるのは「申請や申出を受け付けた事実」です。相続が起きた日そのものではありません。
法務省が説明していること
意見募集の結果として、法務省民事局民事第二課は次のように述べています。以下は、寄せられた別々の意見に対するそれぞれ独立した回答です。「登記事務がデジタル化され登記事務処理において不必要となった情報を保有していることで、法務局の本来業務に支障を来すほどの膨大な件数の受付帳に対する開示請求が行われている現状にあります。」
受付帳の位置づけについての法務省の見解
別の意見に対しては、受付帳の位置づけについて次のように述べています。これは受付帳の本来の目的についての見解であり、営業目的での利用の是正が改正の目的であると述べたものではありません。「受付帳は、登記の申請がされた際に受付の事実を記録しておくために備え付けている帳簿であり、不動産売買情報を把握するために利用することは本来の目的とは異なります。」
受付帳そのものの説明や、開示請求の手順は、記事下部の関連リンク「登記受付帳とは?2026年10月改正の影響と不動産営業の対応」をご覧ください。
考え方
なぜ「代わり」が見つけにくいのか
受付帳は、1つの資料で次の3つが同時にわかる、めずらしい資料でした。
売りそうな家に気づける
相続や抵当権抹消の登記手続きが受け付けられたことがわかる
どの物件かがわかる
不動産所在事項で物件を特定できる
エリアを漏れなく見られる
管轄内で受け付けられたものが並んでいる
代わりの方法を探すとき、この3つを分けて考えると整理しやすくなります。というのも、どの方法も3つ全部は満たさないからです。たとえば地図を見ながらエリアを回る方法は、漏れなく回れますが、どの家に相続があったかはわかりません。逆に、司法書士から相談をもらう方法は相続があったことはわかりますが、エリアを漏れなく押さえることはできません。だから「受付帳の代わりはこれ」という1つの答えはありません。組み合わせて補うことになります。
比較
代わりになる方法を比べる
受付帳の代わりになりうる方法を7つ挙げ、先ほどの3つの観点で比べました。あわせて「始めやすさ」も載せています。
表の読み方(3つだけ補足します)
| 方法 | 売りそうな家に気づけるか | どの物件かわかるか | エリアを漏れなく見られるか | 始めやすさ |
|---|---|---|---|---|
| 過去のお客様・休眠客に連絡する | △ 相談が来て初めてわかる | ○ わかる | × 名簿の範囲だけ | ◎ すぐ始められる |
| 士業・金融機関・管理会社から相談をもらう | △ 連絡が来て初めてわかる | ◎ わかる | × 相手が扱う範囲だけ | △ 関係づくりに時間がかかる |
| 査定・広告・セミナーで問い合わせを集める | △ 問い合わせが来て初めてわかる | ◎ わかる | × 問い合わせがあった分だけ | × 費用と時間がかかる |
| 地図を見ながらエリアを回る | × わからない | ◎ わかる | ◎ 区切った範囲を漏れなく | △ 手間がかかる |
| 民間のデータサービスを使う | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 |
| 空き家バンク・競売/公売の情報を見る | △ 掲載されて初めてわかる | ◎ わかる | △ 掲載された分だけ | △ 手間がかかる |
| 公的な統計でエリアを絞る | × わからない | × わからない | × 個別の物件は出てこない | ◎ すぐ使える |
地図を見ながらエリアを回る方法は、「売りそうな家に気づく」ことができません
エリア内を漏れなく扱える代わりに、相続や売却が起きたかどうかは教えてくれません。受付帳の代わりとして、この点は埋められないことを前提にしてください。
民間のデータサービスは「要確認」としています
サービスごとに前提が大きく違うため、本記事では評価を置きませんでした。特に、そのデータが受付帳の開示請求をもとにしている場合、今回の改正の影響を直接受けます。検討するときは、データの出どころと、施行日以後も同じ内容で提供されるかを、提供元の資料でご確認ください。
公的な統計は、個別の物件には届きません
受付帳の代わりにはなりませんが、どのエリアから手をつけるかを決める材料としては使えます。
選び方
どう組み合わせるか
足りないところから埋める。いま自社が受付帳の「どの部分」に頼っていたかを考えると、選びやすくなります。
| 状況 | 向いている方法 |
|---|---|
| 人数が少なく、過去のお客様の名簿がある | 過去のお客様への連絡。すぐ始められて費用もかからない |
| 対象を増やしたいが専任は置けない | 地図を見ながら回る。ただし作業は続く |
| 専任やチームを置ける | 士業との関係づくり。時間がかかるので早めに着手する |
| 外部サービスを使える | データサービス。契約条件と提供継続を個別に確認する |
「売りそうな家に気づく」ことを重視するなら
過去のお客様への連絡、士業からの相談、問い合わせを集める方法を厚くします。いずれも相手から連絡が来るのを待つ形になるので、接点の数を増やすことと、思い出してもらえる状態を保つことが大事になります。
「エリアを漏れなく」を重視するなら
地図を見ながら回る方法になります。ただし「売りそうな家に気づく」ことはできないので、エリア内を継続的に見ていく運用が前提になります。
両方いるなら
地図でエリアを押さえつつ、過去のお客様や士業からの相談が入る導線を並行して持つ形になります。
物件の種類による違い
マンションなどの区分建物は、部屋ごとに登記記録があるため、物件を特定するのに家屋番号が必要です。土地や戸建ては地番の特定から始まります。
地番・家屋番号の調べ方は、記事下部の関連リンク「地番・家屋番号の調べ方」をご覧ください。
チェックリスト
施行日までにやること
施行日前に確認する
いまの物件探しの手順のうち、受付帳を前提にしているのはどこか/そこが止まると、月あたりの対象件数はどれくらい減るか/外部サービスを使っている場合、そのデータの出どころと、施行日以後の提供内容/立ち上げに時間がかかる方法(士業との関係づくりなど)は先に着手する
施行日以後に確認する
外部サービスの提供内容が実際にどう変わったか/選んだ方法で、必要な件数が確保できているか/足りない場合、3つの観点のどれが埋まっていないか
法令・運用への配慮
個人情報の取り扱い
公開されている記録でも個人情報です
個人情報保護委員会は、登記簿等を閲覧して個人情報を取得する場合について、次の考え方を示しています。「登記簿等により公開されているものでも個人情報であることに変わりはなく、それを取得する場合には利用目的の特定が必要です。」公開された記録から得た情報であっても、個人情報として扱う必要があります。取得した所有者情報について、利用目的を決めておいてください。
送付の停止を求められたとき
送付の停止を求められた場合に、受け付けて反映する手順を用意してください。DM の送り方は、記事下部の関連リンク「不動産オーナーへのDMの送り方」をご覧ください。
本記事は法的助言ではありません
記載内容は法務省などの資料にもとづいて整理したものですが、個別の事案における判断は、弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。
※ 本記事は一般的な実務の整理であり、法的助言ではありません。個別の適用可否については、 自社の法務担当者や専門家にご確認ください。
実務との対応
この記事の実務とGeoLeadの対応範囲
この記事で取り上げた工程・課題のうち、GeoLead が支援する範囲と、対象としていない範囲を整理します。
| 記事で取り上げた工程・課題 | GeoLead での扱い |
|---|---|
| どの物件かがわかる | 地図上でクリック、住所・地番・建物名検索から物件を登録 |
| 地図を見ながらエリアを回る | GeoLeadのChrome拡張(GeoLead Search)は、地図上で選んだ地点について地番候補の検索・確認を支援します。GeoLeadは、地図上で選んだ物件について登記情報の取得依頼と所有者データ化を支援するサービスです。 |
GeoLead で対応できないこと
- この流れは、受付帳のように「新しく登記の動きがあった物件」を知る方法ではありません。
- 法務局が交付する登記事項証明書は取得できません。GeoLead が扱うのは登記情報提供サービスの登記情報(PDF)です。
用語解説
- 登記受付帳
- 登記官が登記申請の受付の事実を記録する帳簿。行政文書開示請求の対象となる
- 不動産所在事項
- 不動産を特定するための所在に関する記載事項。2026年10月1日施行の改正で受付帳の記録事項から削除される
- 相続人申告登記
- 相続人が登記名義人の相続人である旨を申し出て行う登記
- 行政文書開示請求
- 行政機関の保有する行政文書の開示を請求する手続
FAQ
よくある質問
- Q. 登記受付帳は廃止されるのですか?
- 廃止されません。2026年10月1日施行の改正で消えるのは「登記の目的(申出の目的)」と「不動産所在事項」です。施行日以後も受付の年月日と受付番号は記録され、行政文書開示請求の対象のままです。
- Q. 施行日より前に取得した情報は、施行日以後も使えますか?
- 記録される内容が変わるのは、施行日以後に受け付けられた分です。施行日より前に開示を受けた情報を使うときは、利用目的の特定など、個人情報保護法上の取り扱いが必要です。
- Q. 登記情報そのものが取れなくなるのですか?
- いいえ。この改正は受付帳に記録する内容を変えるもので、登記事項証明書や登記情報の取得制度をなくすものではありません。地番・家屋番号がわかれば、登記情報提供サービス等で所有者を確認できます。
- Q. 相続があった不動産を見つける方法は他にありますか?
- 本記事で比べた7つの方法では、「相続があったこと」と「どの物件か」を同時にわかる方法は見当たりませんでした。士業からの相談や過去のお客様からの連絡で相続を知る方法と、地図でエリアを見る方法を組み合わせる形になります。
出典
- 不動産登記規則(e-Gov法令検索) — デジタル庁(e-Gov法令検索) (2026-08-24 閲覧)
- 不動産登記規則 2026年10月1日施行版(e-Gov法令検索) — デジタル庁(e-Gov法令検索) (2026-08-24 閲覧)
- 不動産登記規則等の一部を改正する省令案の概要に関する意見募集の結果について — 法務省民事局民事第二課 (2026-08-23 閲覧)
- 登記簿等を閲覧して個人情報を取得する場合も利用目的の特定が必要ですか(FAQ Q2-4) — 個人情報保護委員会 (2026-08-24 閲覧)
- 全国版空き家・空き地バンク — 国土交通省 (2026-08-24 閲覧)