不動産の登記簿謄本から所有者リストを作る方法|登記情報との違いも解説
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執筆・監修:株式会社レックアイ(GeoLead 運営会社)
目次
この記事の結論
不動産営業用の所有者リストを作る場合、法務局の証明文・公印付き登記事項証明書が必ず必要とは限りません。GeoLeadが取得するのは登記情報提供サービスの不動産登記情報PDFであり、登記事項証明書ではありません。
「誰が所有者かを社内で確認し、アプローチ先を決める」ことが目的であれば、オンラインで取得できる登記情報で足りる場合があります。証明文・公印が求められるのは、裁判所・金融機関・行政などの第三者に対して所有関係を証明する必要がある場面です。
所有者リストを作る流れは、①対象エリアと物件条件を決める → ②地番・家屋番号を調べる → ③請求区分(所有者事項/全部事項)を決める → ④登記情報を取得する → ⑤所有者の氏名・住所を書き出す → ⑥名寄せして重複をまとめる → ⑦郵便番号を補完し送付先として整える → ⑧送付停止(オプトアウト)先を除外する、の8ステップです。
判断
先に結論 — 証明書が必要な用途と、所有者確認が目的の用途は異なる
「登記簿謄本を取らないといけない」と考えて手が止まってしまう場面の多くは、実は目的が「所有者の確認」であり、証明文・公印を必要としません。まず自分の用途がどちらなのかを切り分けてください。
証明文・公印付きの登記事項証明書が求められる場面
- 裁判・調停など、法的手続のなかで所有関係を立証する
- 金融機関・行政などの第三者へ、所有関係の証明書類として提出する
- 相続・売買にともなう登記申請など、提出先が証明書を指定している手続
この場合は法務局で登記事項証明書の交付を受けてください。登記情報提供サービスの登記情報PDFには証明文・公印が付かないため、証明書そのものの代わりにはなりません。ただし一部の行政手続では、登記情報提供サービスの照会番号によって添付書類の省略が認められる場合があります。提出先の要件をご確認ください。
所有者の確認が目的の場面(営業リスト作成はこちら)
- 営業アプローチ先として、誰がその不動産を所有しているかを社内で確認したい
- 登記上の住所を確認して、DM の送付先リストを作りたい
- 相続・空き家の候補として、所有者が現地に住んでいそうかを見極めたい
この場合は、登記情報提供サービスから取得できる登記情報で足りる場合が多く、GeoLead はこの用途を対象としています。
ただし、証明書が必要かどうかを最終的に決めるのは提出先です。提出を求められている場面では、提出先の指定を必ず確認してください。ここでの整理は一般的な考え方であり、個別の手続における要否を保証するものではありません。
「登記簿謄本」「登記事項証明書」「登記情報」の違い
| 呼び方 | 何を指すか | 主な取得元 | 証明文・公印 | 証明書としての提出 |
|---|---|---|---|---|
| 登記簿謄本 | 紙の登記簿を書き写して交付していた時代の呼び方。登記簿がデータ化された現在は、日常会話や実務のなかで「登記事項証明書」を指す通称として使われることが多い。 | —(通称のため、この名称の書類が交付されるわけではない) | — | — |
| 登記事項証明書 | 登記記録の内容を法務局が証明する書面。全部事項証明書・現在事項証明書などの種類がある。 | 法務局(窓口・郵送・オンライン申請) | 付く(登記官の証明文・公印) | できる |
| 登記情報 | 登記記録の内容をオンラインで閲覧・PDF 取得できるもの。請求区分として「所有者事項」「全部事項」などがある。 | 登記情報提供サービス(一般財団法人民事法務協会が運営) | 付かない | 不可(ただし照会番号により添付書類の省略が認められる手続あり) |
- GeoLead が取得するのは 3 行目の「登記情報」です。登記事項証明書(いわゆる登記簿謄本)を取得する機能ではありません。
- 「所有者事項」「全部事項」は、登記情報提供サービスにおける請求区分の名称であり、証明書の名称ではありません。これらの請求区分名に「証明書」を付けた書類は存在しないため、証明書を指す場合は「全部事項証明書」など、法務局が交付する書面の名称を使います。
- 記載されている内容そのものは、いずれも法務局の登記記録に由来します。違いは「証明文・公印が付くかどうか」=第三者に対して証明できるかどうかです。
必要な項目
不動産営業の所有者リストに必要な情報
- 所有者の氏名(法人の場合は商号)
- アプローチ先を特定する基本情報です。所有者が法人の場合は、代表者ではなく法人名義で登記されている点に注意します。
- 所有者の住所(登記上の住所)
- DM の送付先の基準になります。ただし登記された時点の住所であり、その後の転居が反映されていない場合があります。物件所在地と登記上の住所が異なれば、所有者が現地に住んでいない可能性を示す手がかりにもなります。
- 持分
- 共有名義かどうか、誰がどれだけの割合を持っているかを示します。共有だと売却などの意思決定に複数人の合意が必要になるため、アプローチの優先順位や送付先の判断に影響します。
- 地番・家屋番号
- 登記記録上の識別子で、普段目にする住居表示(○丁目○番○号)とは別の体系です。登記情報を請求する際にはこの地番・家屋番号が必要になります。区分建物(マンション)では部屋ごとに家屋番号が付きます。
- 郵便番号
- 登記記録には記載されないため、DM を送るには住所から補完する必要があります。リスト化の段階で抜けやすい項目です。
手順
所有者リストを作る手順
- 1
対象エリアと物件条件を決める
先に取得件数が決まるため、最初に範囲を絞ります。エリア、用途(戸建・アパート・区分マンション・土地)、築年数、規模などの条件を決めておくと、後工程の取得コストと確認作業が見通せます。
「まず広く取ってから絞る」進め方は、取得費用と確認工数の両方が膨らみやすいため避けるのが無難です。
- 2
住居表示から地番・家屋番号を調べる
登記情報は住居表示では請求できません。対象物件の地番(土地)や家屋番号(建物)を調べ、候補を確認します。ここが手作業では最も時間のかかる工程です。
区分建物では、建物全体ではなく対象の部屋の家屋番号を確認する必要があります。
- 3
請求区分(所有者事項/全部事項)を決める
所有者の氏名・住所を確認して営業リストを作るのが目的であれば「所有者事項」で足りる場合があり、抵当権など権利関係まで確認したい場合は「全部事項」を選びます。どちらも登記情報提供サービスの請求区分であり、証明文・公印は付きません。
- 4
登記情報を取得する
登記情報提供サービスから対象物件の登記情報を PDF で取得します。件数が多い場合は、この 1 件ずつの画面操作が最大のボトルネックになります。
- 5
所有者の氏名・住所を書き出す
PDF の権利部甲区(所有権に関する事項)などから、所有者の氏名・住所・持分を表計算ソフトなどに転記します。人手で行うと転記ミスと表記ゆれが混入しやすい工程です。
- 6
名寄せして重複をまとめる
同じ所有者が複数の物件を持っていることは珍しくありません。同一人物・同一法人をまとめないと、同じ相手に同じ内容の DM が何通も届くことになります。住所表記のゆれ(「1丁目2番3号」と「1-2-3」など)の吸収が要点です。
- 7
郵便番号を補完し、送付先として整える
登記記録に郵便番号はないため、住所から補完します。あわせて、宛名として体裁が整っているか(法人格の位置、旧字体、番地の欠落など)を確認します。
- 8
送付停止(オプトアウト)先を除外する
過去に「今後の送付を希望しない」と申し出のあった宛先を、送付前に必ず除外します。除外リストがリスト作成の工程に組み込まれていないと、申し出後も送り続けてしまう事故が起こります。
手作業・登記情報提供サービス・GeoLead の比較
| 観点 | 法務局で登記事項証明書を取る | 登記情報提供サービスを自分で使う | GeoLead を使う |
|---|---|---|---|
| 手に入るもの | 証明文・公印付きの登記事項証明書 | 登記情報の PDF(証明文・公印なし) | 登記情報の PDF(証明文・公印なし) |
| 証明書としての提出 | できる | できない | できない |
| 地番・家屋番号の調査 | 自分で調べる | 自分で調べる | 地図上で対象物件を選び、Chrome拡張「GeoLead Search」で地番・家屋番号候補の検索・確認を支援(検索できる範囲は登記情報提供サービスの地番検索サービスの提供エリアに準じる) |
| 取得の操作 | 窓口・郵送・オンライン申請 | 1 件ずつ画面操作 | 対象物件を登録し、地番・物件種別を確認して取得依頼 |
| 氏名・住所の書き出し | 目視で転記 | 目視で転記 | PDF から所有者名・住所などを自動抽出し、リスト化を支援 |
| 重複の整理(名寄せ) | 手作業 | 手作業 | 名寄せ機能で同一所有者をまとめる |
| 送付停止先の除外 | 自社で管理 | 自社で管理 | 送付停止(オプトアウト)管理を標準機能として利用 |
| 費用の考え方 | 法務局が定める交付手数料 | 登記情報提供サービスの公式料金 | 最新取得は所有者事項 240 円/件・全部事項 450 円/件、データライブラリ経由は 70 円/件・138 円/件(いずれも税別・条件により変動) |
自動化の範囲
GeoLeadが自動化する範囲
地番・家屋番号の確認を支援
地図上で対象物件を選び、地番や家屋番号を確認しながら登記情報の取得対象を決められます。Chrome拡張「GeoLead Search」が、ピン位置を起点に登記情報提供サービスの地番検索サービスで地番候補の検索・確認を支援します(検索できる範囲は同サービスの提供エリアに準じます)。非対応エリアでは地番を別途お調べいただく必要があります。
登記情報の取得依頼をまとめて出す
対象物件を登録し、必要な地番・物件種別を確認したうえで取得を依頼できます。1 件ずつ画面操作を繰り返す必要がありません。
取得した PDF から所有者情報を抽出
取得済みの登記情報 PDF から所有者名・住所などを自動抽出し、確認・編集できる所有者データとして扱えます。郵便番号は住所情報からの補完を含めて支援します。
名寄せで同一所有者をまとめる
住所表記のゆれを吸収して同一の所有者をまとめ、同じ相手に重複して DM が届くことを防ぎます。
取得コストを抑える選択肢
GeoLead 上に取得実績のある登記情報を活用する「データライブラリ」を併用すると、最新取得より低い単価で利用できる場合があります。当社料金にもとづく比較では、条件により最大約 71% のコスト削減となるケースがあります(所有者事項 240 円/件 → 70 円/件、全部事項 450 円/件 → 138 円/件。いずれも税別、条件により変動します)。
登記情報の取得そのものの仕組み(対象物件の登録から取得依頼、PDF からの抽出まで)は、登記情報自動取得の機能ページで詳しく説明しています。重複の整理については名寄せを、取得コストの考え方についてはデータライブラリをご覧ください。
対象外
GeoLeadで取得できないもの
証明文・公印付きの登記事項証明書
全部事項証明書・現在事項証明書など、法務局が交付する証明書は GeoLead では取得できません。第三者への提出や法的手続で証明書が必要な場合は、法務局での交付手続をご利用ください。GeoLead が扱うのは登記情報提供サービスの登記情報(PDF)です。
登記記録に載っていない情報
電話番号・メールアドレス・郵便番号・家族構成・資産状況などは不動産登記情報には記載されません。所有者の連絡先が自動的に判明するわけではありません。
登記されていない事実
未登記の建物、賃借人(借家人)の情報、相続が発生していても登記が未了の場合の現在の相続人などは、登記情報からは把握できません。
「現在の実態」の保証
登記情報は登記された時点の内容です。その後の転居・売買・相続が登記に反映されていない場合があり、記載された住所に必ず本人が居住しているとは限りません。
法令・運用への配慮
所有者情報をDM営業に使う際の注意点
個人情報保護への配慮
登記情報から取り出した氏名・住所も個人情報にあたります。公開情報であっても個人情報保護法の対象です。利用目的をできる限り具体的に特定し、あらかじめ公表するか、取得後速やかに本人へ通知または公表してください(法令上の例外を除きます)。あわせて、アクセスできる担当者の限定、保管期間と廃棄のルール、安全管理措置、委託先の管理、第三者提供の要件についても確認が必要です。
特定商取引法など、送付物の表示に関する法令
DM の内容によっては、特定商取引法などにもとづく表示や勧誘に関するルールが関係します。適用の有無は送付物の内容・取引形態によって変わるため、原稿は自社の法務確認を通したうえで送付してください。
DM 配信停止(オプトアウト)の受付と反映
「今後の送付を希望しない」という申し出を受け付ける窓口と、それを次回以降のリストから確実に除外する運用の両方が必要です。GeoLead では送付停止(オプトアウト)管理を標準機能として備えており、DM に印字した QR コードから配信停止を受け付けることもできます。
記録を残す
いつ・誰が・どの宛先に送付したか、どの申し出をいつ反映したかを残しておくと、問い合わせを受けた際に確認できます。GeoLead では操作の監査ログを利用できます。
※ 本記事は一般的な実務の整理であり、法的助言ではありません。個別の適用可否については、 自社の法務担当者や専門家にご確認ください。
用語解説
- 登記事項証明書
- 法務局が登記記録の内容を証明して交付する書面。登記官の証明文・公印が付き、第三者に対して所有関係等を証明する用途に用いる。全部事項証明書・現在事項証明書などの種類がある。日常的に「登記簿謄本」と呼ばれることが多い。
- 登記情報提供サービス
- 電気通信回線による登記情報の提供に関する法律にもとづく指定法人として、一般財団法人民事法務協会が運営する、登記情報をオンラインで閲覧・PDF 取得できる公式サービス。取得できるのは登記情報であり、証明文・公印の付いた登記事項証明書ではない。
- 所有者事項
- 登記情報提供サービスが提供する登記情報の請求区分の一つ。登記記録のうち所有者(表題部所有者・権利部甲区)の情報に絞ったもの。登記事項証明書とは異なり、登記官の証明文・公印は付かない。
- 全部事項
- 登記情報提供サービスが提供する登記情報の請求区分の一つ。表題部・権利部甲区(所有権)・権利部乙区(抵当権等)を含む登記記録の全内容。登記事項証明書とは異なり、登記官の証明文・公印は付かない。
- 地番
- 土地の登記記録上の番号。普段の住所表記に使う住居表示とは別の体系で、登記情報を請求する際の識別子として用いる。
- 家屋番号
- 建物の登記記録上の番号。区分建物(マンション)では部屋ごとに付され、対象の住戸を特定する識別子として用いる。
- 名寄せ
- 表記のゆれを吸収して、同一の人物・法人が保有する複数のレコードを 1 件にまとめる作業。同じ相手への重複 DM を防ぐために行う。
FAQ
よくある質問
- Q. 登記簿謄本を自動で取得できますか?
- いいえ。GeoLead では、法務局が交付する登記事項証明書(いわゆる登記簿謄本)を取得できません。GeoLead が自動化するのは、登記情報提供サービスから取得できる不動産登記情報(PDF)の取得依頼と、そこからの所有者情報の抽出です。なお登記事項証明書そのものは、法務局へオンラインで交付請求することができます。証明文・公印が必要な場面では、法務局での交付手続をご利用ください。
- Q. 営業用の所有者リストに、証明書は必要ですか?
- 「誰が所有者かを社内で確認してアプローチ先を決める」ことが目的であれば、証明文・公印付きの登記事項証明書が必ず必要とは限りません。証明書が要るのは、裁判所・金融機関・行政などの第三者へ所有関係を証明する場面です。提出先が指定している場合は、その指定に従ってください。
- Q. 「所有者事項」と「全部事項」はどちらを選べばよいですか?
- 所有者の氏名・住所を確認して営業リストを作るのが目的なら「所有者事項」で足りる場合があり、抵当権など権利関係まで確認したい場合は「全部事項」を選びます。いずれも登記情報提供サービスの請求区分名であり、証明文・公印の付いた証明書ではありません。
- Q. 登記上の住所に DM を送れば必ず届きますか?
- 届かない場合があります。登記に記載された住所は登記された時点のものであり、その後の転居・売買・相続が反映されていないことがあります。物件所在地と登記上の住所が異なる場合は、所有者が現地に住んでいない可能性を示す手がかりとして扱うのが現実的です。
- Q. 所有者の電話番号やメールアドレスは分かりますか?
- 分かりません。不動産登記情報に電話番号・メールアドレスは記載されません。郵便番号も記載がないため、DM を送る場合は住所から補完する必要があります。
- Q. 共有名義の場合、誰に DM を送ればよいですか?
- 登記情報で持分を確認したうえで判断します。共有の場合、売却などの意思決定には共有者の合意が必要になるため、持分の大きい方を起点にするか、共有者全員に送るかを方針として決めておくと運用がぶれません。
- Q. 費用はどのくらいかかりますか?
- GeoLead での登記情報取得は、最新取得が所有者事項 240 円/件・全部事項 450 円/件、データライブラリ経由が 70 円/件・138 円/件です(いずれも税別)。条件により変動します。最新の内容は料金プランのページをご確認ください。
出典
- 登記情報提供サービス(一般財団法人民事法務協会) — 一般財団法人民事法務協会 (2026-07-27 閲覧)
- 法務局・登記情報提供制度 — 法務省 (2026-07-27 閲覧)
- 登記事項証明書等のオンライン交付請求 — 法務局 (2026-07-27 閲覧)
- 登記情報提供制度の概要 — 法務省 (2026-07-27 閲覧)
- 個人情報保護法についてのガイドライン(通則編) — 個人情報保護委員会 (2026-07-27 閲覧)
- 通信販売の広告について — 消費者庁 (2026-07-27 閲覧)
- GeoLead 料金プラン — GeoLead (2026-07-27 閲覧)